「君みたいなスキルゼロの人を雇っても、お互い不幸になるだけだよ」
この一言が、僕の就活を変えた。
集団面接という名の公開処刑
書類選考で秒殺され続けた僕は「正社員がダメならアルバイトから」と考え、ECサイト運営会社のアルバイト面接へ応募した。
面接会場に着くと、同じ境遇の若者が数人いた——と思ったら、全然違った。
隣の人はポートフォリオを鞄から取り出し、専門用語を交えながら滑らかに自己PRをしている。その次の人はFigmaの実務経験を語っている。
僕の手元にあるのはコンビニで印刷した履歴書だけ。「Webデザインで何かできますか?」と聞かれて「えーっと……インターネットサーフィンとか……」と答えた。
不合格だった。
社長の正論が刺さりすぎた
数日後、別のECサイト会社から面接の連絡が来た。小さな会社で、面接官は社長ひとりだった。
雑談のような雰囲気の中、社長がこう言った。
「君みたいなスキルゼロの人を雇っても、お互い不幸になるだけだよ」
「求人票の『未経験歓迎』ってね、業界経験はないけどPhotoshop/Illustrat orやHTML/CSSくらいは触れるけど実務経験がない人のことなんだよ。
パソコンが使えるってレベルの話じゃない」
心がえぐられた。でも、正論だった。反論できなかった。
社長がくれた一本の蜘蛛の糸
追い打ちをかけるように続く言葉を覚悟したとき、社長は意外なことを言った。
「職業訓練校って知ってる?失業保険をもらいながら、無料でスキルを学べる制度。Webデザインのコースもあるよ」
藁にもすがる思いで、その日の帰り道にハローワークへ向かった。
2026年の「未経験歓迎」事情
あれから数年が経って、状況は変わったようで変わっていない。
転職サービスのAIマッチングが普及し、スクリーニングはさらに厳しくなっている。「未経験歓迎」の意味は今も変わらない——基礎スキルがある人向けの言葉だ。
ただ、当時と違うのはAIの存在だ。ChatGPTやFigma AIを使った制作プロセスが標準化された今、「AIツールを使って素早く動けます」というアピールは、ポートフォリオ以上に刺さるケースも出てきている。
逆に言えば、AIに任せきりで「自分では何も考えられない」人は、いくらスキルがあっても落とされる。

コメント