30歳で前の仕事を辞めました。
理由はパワハラ。毎日が苦痛で、このままでは心身ともに壊れると思って辞めました。
でも次は何も決まっていない。30代・未経験からのキャリアチェンジに不安を感じながら、この記事にたどり着いた人もいるかもしれません。当時の自分も、まさにそうでした。
そんな状況でも頭の片隅にあったのが「WEBデザイナーになりたい」という気持ちでした。大学の授業でWEBデザインに触れたとき、「面白い!」と感じたんです。この感情が、全ての始まりでした。
とりあえず応募しまくった結果
WEBデザイナーになりたい。でもスキルも経験もゼロ。
じゃあどうするか。とりあえずWEBデザイナーの求人を調べまくって、片っ端から応募しました。
そりゃあ落ちまくりました。面接にかすりもせず、書類選考で落ち続けました。
「正社員が無理ならアルバイトから!」と思いつき、某アパレルショップのECサイト運営の面接へ。まさかの集団面接で、周りはそれなりにスキルのある若者たち。
WEBデザインの質問をされてもしどろもどろ。あの時のことは今でも思い出すと胸が痛いです。
転機になった面接
あるWeb会社の面接に行きました。
社長さんはいい人でした。結果は「採用保留」。
理由はこうでした。
「求人に未経験OKと書いたけど、全くの未経験の人を採用しても、こちらも教育に手が回らないし、あなたも暇な時間ができてしまう。お互いにとって良くない。」
確かに、と思いました。企業側は即戦力が欲しいんですよね。未経験者を採用するメリットがない。
そこで社長さんから一言。
「ハローワークに行ってみたら?職業訓練っていう制度があるよ。」
実は以前にも別の人から同じことを言われていました。そのときはスルーしていたんですが、2回目に言われてさすがに気になりました。
ハローワークへ。初めて知った職業訓練
さっそくハローワークへ行きました。
Web系の職業訓練があること、ちょうど受付が始まるタイミングだということを教えてもらいました。
正直、制度の仕組みはよくわかっていなかったけど、「とりあえずやってみよう」という気持ちで動き始めました。
失業保険の申請、説明会への参加、願書の準備……ハローワークに何度も足を運ぶ日々が続きました。めんどくさかったですが、これをやらないと先に進めない。
職業訓練には2種類ある
ここで少し補足しておきます。職業訓練には大きく2種類あって、自分は両方受けることになりました。
| 公共職業訓練 | 求職者支援訓練 | |
|---|---|---|
| 主な対象 | 雇用保険受給中の求職者 | 雇用保険を受給できない求職者(受給終了者含む) |
| 受講料 | 原則無料(テキスト代は自己負担) | 原則無料(テキスト代は自己負担) |
| 給付金 | 受給中の失業給付を受けながら受講できる | 職業訓練受講給付金(月10万円)を受けられる場合がある(要件あり) |
1回目に受けたのが公共職業訓練、2回目に受けたのが求職者支援訓練です。選考の内容はコースや訓練機関によって異なりますが、自分の場合は1回目が筆記試験+面接、2回目は面接のみでした。
1回目の試験(公共職業訓練):あっさり落ちた
1回目は公共職業訓練の選考でした。
筆記試験のあとに面接。過去問をたくさんやって臨みましたが、思ったより難しかったです。
筆記試験の内容
出題内容は、記述式の漢字の読み書きや簡単な計算問題など。SPIほどの難しさはなく、中学〜高校レベルの内容でした。試験時間は20〜30分ほど。
なお、訓練校によっては筆記試験がなかったり、適性検査があったりするケースもあるようなので、事前に確認しておくと安心です。
事前に過去問で対策していたので、焦ることなく時間内に解き終えることはできました。ただ、算数の文章問題に大変苦労しました。速度の問題とか、小中学校以来まともにやっておらず「あれ、これどうやって解くんだっけ?」状態。自分は小中とお勉強をサボり続けたツケがここで回ってきました。
中学レベルの数学を一通りさらっておくだけで全然違うので、1冊だけ参考書を用意しておくのがおすすめです。
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定員15名に対して受験者は33名。面接の受け答えも微妙でした。
数日後、合否通知が届きました。
落ちました。
あっさりでした。でも不思議とそこまで落ち込まなかった。「次の試験を受けよう」とすぐに切り替えられました。
2回目の試験(求職者支援訓練):スーツで一人だけ浮いた
気持ちを切り替えて、次の試験に申し込みました。今度は求職者支援訓練の選考。自分が受けたコースは面接のみでした。
試験当日、久しぶりにスーツを着て会場へ。
着いたら受験者25人の中でスーツを着ているのは自分だけ。めちゃくちゃ浮きました。
でも面接は手応えがありました。1回目より落ち着いて話せた気がします。
合格。そして入校へ
数日後、合否通知が届きました。
合格でした。
1回落ちてのリベンジ合格。素直に嬉しかったです。
通うことになったのは、求職者支援訓練のWebデザイナー科。受講料は無料、テキスト代もかかりませんでした。
そして入校初日。朝5時半起きで、電車を3本乗り継いで通学。30分早く着いたつもりが、開始時間を勘違いしていて少し遅刻しました。
初日からやらかしましたが、オリエンテーションはなかなか楽しかった。同じ目標を持つ仲間がいる環境って、思っていた以上に良かったです。
前職のパワハラで折れそうだった自分が、ここまで来た。そう思うと少し感慨深かったです。
訓練校の6か月——天国か地獄か
「このクラスからWebデザイナーとして就職できるのは、毎年1〜2人です」
入学して1ヶ月。講師のこの一言で、教室の空気が凍りつきました。
クラスは20人。20代から40代まで、転職希望者が集まっていました。学ぶ内容はIllustrator・Photoshop・HTML・CSS・WordPressの基礎。6ヶ月でひと通り触れます。
正直に言うと、授業のレベルは高くありません。今ならYouTubeとAIで独学できる内容がほとんどです。ただ、強制的に毎日通う環境があること、同じ境遇の仲間ができること——そこに価値がありました。
授業を受けながら就活する
制作会社や広告代理店のWebデザイナー職は、訓練校の卒業生には基本的に門が閉まっています。求めているのは即戦力だからです。6ヶ月でIllustratorを触りました、というレベルでは話になりません。
この現実を知ったのが入学1ヶ月目。そこから授業と並行して就活を始めました。ポイントは、制作会社ではなく事業会社を狙うこと。自社サービスを持つ会社のWeb担当なら、即戦力よりも「一緒に育てられる人材」を求めているケースがあります。
訓練校に行くべき?
結論を言うと、条件がそろっているなら行く価値はあります。
- 失業給付が受けられる状況であること
- 自己管理が苦手で、独学が続かないこと
- 同じ境遇の人と切磋琢磨したいこと
この3つが当てはまるなら、訓練校はいい選択です。ただし、授業だけで就職できると思って通うと裏切られます。授業は「最低限の土台」と割り切って、自分でポートフォリオを作り続けることが唯一の正解でした。
内定辞退と貯金残高
訓練校に通いながら進めた就活。その道のりは、想像以上に長くて暗いものでした。
ようやく出た内定の求人票には「みなし残業60時間含む」の文字。この条件で入ることへの引っかかりが消えず、最終的に辞退しました。あとで知りましたが、この判断は正しかった。後日、その会社の求人がまた出ていたんです。採用と退職を繰り返している会社でした。
求人票を「裏読み」する
この時期に身についたのが、求人票を裏読みする技術です。気をつけたい表現はこのあたり。
- 「みなし残業●●時間含む」→ 残業が常態化している
- 「アットホームな職場」→ 体育会系か、境界線があいまいな可能性
- 「未経験歓迎・やる気重視」→ スキルより従順さを求めている可能性
- 給与の幅が異常に広い(例:20〜60万円)→ 評価基準が不透明
辞退から2ヶ月後、貯金は30万円を切っていました。求人サイトを開くたびに、焦りと恐怖。「自分には無理なのかもしれない」という声が頭の中でうるさくなっていました。それでもやめなかった理由は単純で、他にやりたいことが何もなかったからです。
入社1週間で辞めた会社
「社訓、もう一度!声が小さい!」
6ヶ月の就活を経て、ようやくつかんだ内定。「デザインからコーディングまで、裁量を持って働ける」という求人に心が躍りました。でも入社初日の朝礼で、オフィス全員が社訓を絶叫していたんです。声が小さいとやり直し。クリエイティブな仕事をする場所ではありませんでした。
22時まで働いても「19時と記録しろ」と指示されたこともありました。結局、1週間たたずに辞めました。あの環境にいたら、Webデザインへの興味ごと消えていたと思います。
ブラック企業を見分けるチェックリスト
- 面接が異様に短い・浅い(人を見ていない)
- 求人票に「やる気」「情熱」が多用される
- オフィスの雰囲気が体育会系
- 「残業はあるけど、やりがいがある」という表現
- Googleの口コミ評価が2点台以下
一つでも当てはまったら、追加で調べることをおすすめします。心が折れる前に逃げることは、弱さではありません。「石の上にも三年」という言葉は、正しい石の上にいるときだけ有効です。
スキルで負けた僕が採用された理由
2度目の無職。貯金は底をつきかけ、正直、Webデザイナーを諦めようかと思っていました。そんな崖っぷちで受けたのが、事業会社の「Web担当」の面接です。
面接では正直に話しました。「スキルはまだ不十分です。でも、計画性では負けません。目標から逆算して、今日やるべきことを明確にして動けます。御社のWebサイトを分析して、改善できると感じた点を3つ準備してきました」
入社して数か月後、採用担当者になぜ選んだのかを聞いてみると、こう返ってきました。「スキルの高い応募者は他にもいた。でも彼らは『自分が何をできるか』しか話さなかった。あなただけが『どうやって目標に向かって行動するか』を具体的に話してくれた」
書類選考の通過率を上げた方法
最初の頃の志望動機は「御社で成長したい」「やる気があります」という抽象的なものでした。変えたのは一つだけ。一社ごとに、その会社のWebサイトを見て「ここを改善できます」という具体的な提案を書くこと。これで通過率が劇的に変わりました。
転職して分かったこと——逃げは「選択」だった
転職を決めるとき、「逃げじゃないか」と自分を責めました。今ならはっきり言えます。逃げてよかった。
転職後、給与は少し下がりました。でも、手に入ったものの方がずっと大きかった。毎朝、出社するのが怖くない。残業は減り、自分の時間が増えた。新しいスキルを学ぶ余裕が生まれた。精神的な余白ができると、人は動き出します。
逃げることは弱さじゃない。自分を守る選択です。大切なのは、逃げた先で何をするかです。
未経験転職の3つの真実
- 未経験転職はできる。でも楽ではない。AIで作業の敷居は下がったけれど、採用の敷居は下がっていません。それでも続けた人だけが、たどり着ける場所があります。
- スキルで勝てないなら、思考で戦う。前職の強みを棚卸しして、Web職でどう活かすかを言葉にする。営業なら「ユーザーの心理を読む力」、製造業なら「工程管理の思考」、接客業なら「UXへの共感力」。何でもいいんです。
- 狙い目は制作会社より事業会社。自社のサービスを育てる仕事だから、「一緒に考えて動いてくれる人」を求めています。
あの頃の自分に伝えるとしたら、こう言います。「諦めなければ、道は開ける。ただし、諦めない理由を自分で作れ」
これから未経験転職・職業訓練を考えている人へ
振り返ると、あのWeb会社の社長さんの一言がなければ今の自分はなかったと思います。採用してもらえなかったんですけどね。
職業訓練は、お金をもらいながらスキルを学べる制度です。「公共」と「求職者支援」の2種類があるので、自分の状況(雇用保険の受給状況など)に合わせてハローワークで相談してみてください。
もし今、書類選考や面接で落ち続けて「自分には向いてないのかも」と思っているなら伝えたいです。自分もそうでした。落ちたのは能力がないからじゃなくて、まだ武器が揃っていなかっただけです。職業訓練は、その武器を揃える場所でした。
次回は、実際の6ヶ月間の授業内容について書きます。
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